仮登記

2023年4月13日

仮登記とは

不動産の仮登記とは、権利関係の確定や権利移転手続きを行う前に、一時的に登記簿に記録することを言います。これにより、不動産の権利関係が変更される可能性があることを第三者に通知する役割を果たしています。具体的には、売買契約や抵当権設定契約など、不動産取引における様々な手続きの途中段階で利用されます。仮登記は、登記簿上の権利関係を一定期間確保することが目的であり、正式な登記手続きが完了するまでの間、権利の変動を抑制する効果があります。

仮登記の主な目的は、次の3点に集約されます。

  1. 権利の保全:仮登記を行うことで、第三者が不動産に対する権利を取得することを防ぎます。これにより、権利者が正式な登記手続きが完了するまでの間、権利関係を確保できます。
  2. 信頼性の確保:仮登記が行われた不動産に対して、第三者はその権利関係の変動を知ることができます。これにより、取引における信頼性が向上し、不動産市場全体の安定化に寄与します。
  3. 事前手続きの円滑化:仮登記によって、正式な登記手続きの前に権利関係が一定程度確定するため、権利移転の手続きがスムーズに進行します。また、仮登記の証明書を提示することで、関係者間での権利関係の確認が容易になりま

1号仮登記

物権変動は既に生じているが、義務者の識別情報・第三者の許可証等を添付できないとき。

不動産登記法105条1号

1号仮登記は、不動産登記における一種の仮登記で、主に権利移転のための仮登記として用いられます。1号仮登記の目的は、所有権移転、地上権設定、定期借地権設定、賃貸借権設定など、不動産に関する権利移転や権利設定が予定されている場合に、それらの権利関係を一時的に確保することです。

1号仮登記は、以下のようなケースで利用されます。

  1. 売買契約後、決済前:不動産の売買契約が成立した後、決済が完了するまでの間、購入者が権利を確保するために1号仮登記を行います。これにより、他の第三者がその不動産に対して権利を主張することを防ぐことができます。
  2. 抵当権設定前:金融機関が融資を行う際、不動産を担保に抵当権を設定することが一般的です。抵当権が正式に設定されるまでの間、金融機関が権利を確保するために1号仮登記を行います。

1号仮登記を行う手続きは、以下の通りです。

  1. 申請書の作成:1号仮登記の申請書には、申請者の氏名・住所・印鑑、不動産の所在地・地番・地積、登記の目的や内容、添付書類、仮登記の効力が消滅する期間などが記載されます。
  2. 添付書類の準備:1号仮登記の申請には、契約書や登記事項証明書、印鑑証明書、委任状(代理人が申請する場合)などの添付書類が必要です。
  3. 登記申請:申請書と添付書類を用意した上で、不動産登記所に提出します。手数料が必要で、登記の目的や内容に応じて異なります。申請が受理されると、登記簿に1号仮登記が記録され、効力が発生します。
  4. 明書の交付:登記簿に1号仮登記が記録されると、申請者に対して仮登記の証明書が交付されます。この証明書は、関係者間で権利関係の確認を行う際に重要な役割を果たし、正式な登記手続きが完了するまでの権利関係の保証として利用されます。

1号仮登記が成立した後は、正式な登記手続きを進める必要があります。仮登記の期間内に正式な登記が完了しない場合、1号仮登記の効力は消滅し、再度仮登記を行う必要が生じます。そのため、1号仮登記の期間内に権利移転や権利設定の手続きを迅速に行うことが重要です。

また、1号仮登記を行う際には、専門的な知識や手続きが必要であるため、不動産登記の専門家である司法書士に依頼することが一般的です。司法書士は、不動産登記手続きのプロフェッショナルであり、登記に関する法律や手続きの知識を持っています。そのため、1号仮登記を含む不動産登記手続きにおいて、適切なアドバイスやサポートを受けることができます。1号仮登記に限らず、不動産取引においては、適切な専門家に相談し、円滑な手続きを進めることが重要です。

2号仮登記

物権変動はまだ生じていないが、将来において権利変動を障子させる請求権が発生している場合
売買予約、または物権変動そのものが停止条件付の場合

不動産登記法105条2号

2号仮登記は、不動産登記におけるもう一つの主要な仮登記で、権利の設定や変更が予定されている場合に行われます。具体的には、抵当権の設定や変更、地役権の設定や変更、担保目的の変更など、権利関係における変動が予定されているケースで利用されます。2号仮登記の目的は、これらの権利変動を一時的に登記簿に記録し、関係者が権利関係の変更を知ることができるようにすることです。

2号仮登記が行われる典型的なケースは以下の通りです。

  1. 抵当権の設定:金融機関が融資を行う際に、不動産を担保に抵当権を設定することが一般的です。抵当権が正式に設定されるまでの間、金融機関が権利を確保するために2号仮登記を行います。

  2. 地役権の設定:隣地同士で通行権や排水権などの地役権を設定する際、正式な登記手続きが完了するまでの間、地役権を保証するために2号仮登記が行われます。

2号仮登記の手続きは以下の通りです。

  1. 申請書の作成:2号仮登記の申請書には、申請者の氏名・住所・印鑑、不動産の所在地・地番・地積、登記の目的や内容、添付書類、仮登記の効力が消滅する期間などが記載されます。

  2. 添付書類の準備:2号仮登記の申請には、契約書や登記事項証明書、印鑑証明書、委任状(代理人が申請する場合)などの添付書類が必要です。

  3. 登記申請:申請書と添付書類を用意した上で、不動産登記所に提出します。手数料が必要で、登記の目的や内容に応じて異なります。申請が受理されると、登記簿に2号仮登記が記録され、効力が発生します。

  4. 仮登記の証明書の交付:登記簿に2号仮登記が記録されると、申請者に対して仮登記の証明書が交付されます。この証明書は、関係者間で権利関係の確認を行う際に重要な役割を果たし、正式な登記手続きが完了するまでの権利関係の保証として利用されます。

  5. 2号仮登記が成立した後は、正式な登記手続きを進める必要があります。仮登記の期間内に正式な登記が完了しない場合、2号仮登記の効力は消滅し、再度仮登記を行う必要が生じます。そのため、2号仮登記の期間内に権利の設定や変更の手続きを迅速に行うことが重要です。

    また、2号仮登記を行う際には、専門的な知識や手続きが必要であるため、不動産登記の専門家である司法書士に依頼することが一般的です。