登記の公信力

2023年4月13日

公信力とは

不動産の登記簿に記載された内容に効力が生じることを「公信力」という。
現行の登記制度では、登記簿に記載されている内容は一般的には正しいとみなされるが、
真実の権利関係と登記簿に記載された内容が相違している場合、仮にその記載内容を信用したとしても、
これを保護することはできないのが原則。つまり、登記簿の記載よりも真実の権利関係が優先される。

登記に公信力がない事について

この公信力は動産には認められているが、不動産の登記には認められていない。
下記で具体例に解説する。

・不動産登記
例えば、Aが所有する土地について、AはBに脅迫され、その事実が無いにもかかわらずBへ売却した旨の登記をしたとする。その結果、登記上の所有者はBになり、そしてその事情を知らずに登記を信じたCが、Bからこの土地を購入し、これを登記した。

登記の公信力

この場合、Cはこの土地の所有権を取得することはできない。
登記には公信力が認められていないため、登記を信頼して不動産取引を行ったとしても、その信頼は当然には保護されないことになるのである。

このため、不動産取引の場合、登記上の権利者が真の権利者かどうかを調査し、確認を取る必要がある。
そこで、不動産登記制度では、現在の所有者を公示するのみでなく、これまでの権利変動の過程をも記録する必要があるとされている。

※AがBとの売買契約を取り消す意思表示をした場合、AはCに対し、「土地所有権移転の登記を行え」と請求できる。当然、Cはこれに従わざるを得ないが、Bに損害賠償を請求することは可能とされる。

動産の場合
上記事例において、対象物が不動産ではなく車のような動産であった場合は結果が異なる。。真の権利者はAであり、Bに所有権はない。このため、CもBから所有権を取得することができないが、それではCが気の毒であり、Bに所有権があるという外観を信じて取引をしたCは保護されることになる(公信力がある)。