相続の登記(法定相続分)

2023年4月13日

相続登記の申請の流れ

法定相続分による相続登記の申請は、以下の流れで行われる。

手順① 戸籍関係書類の取得

相続の開始があったことを証明し、また、法定相続人を特定するための戸籍関係書類である
「戸籍謄抄本」・「除籍謄抄本」を取得する。
これらの書類によって、法定相続人を特定する(他に相続人がいないこと)を証明できる。

最新の戸籍関係書類のイメージ

「戸籍謄抄本」および「除籍謄抄本」の取得(請求)は、それぞれの戸籍ごとに、
本籍のある市区町村に請求する。(転籍等により本籍が変わっている場合には、
その本籍ごとに、本籍のある市区町村に請求する必要あり)
具体的な請求方法や手数料等については、自治体によって異なるためホームページ等で確認する。

法務省ホームページ
「戸籍ABC(Q6~ )」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00032.html

手順② 登記申請書の作成

法務局(登記所)に提出する登記申請書を作成する。
登記の申請は、作成した登記申請書(書面)を法務局の窓口に持参する方法や、
郵送する方法のほかに、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」で登記申請書を作成し、
これをオンラインで申請する方法

「登記・供託オンライン申請システム」のホームページ
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

法務局ホームページ「不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudosan_online03.html

登記申請書は、法務局ホームページから様式をダウンロードして作成することができる。

登記申請書の記載例 具体的な解説は以下

上記の登記申請書は、法務太郎(夫)、法務花子(妻)、法務一郎(長男)、法務温子(長女)の4人家族の場合で、
法務太郎(夫)が亡くなり(この場合の法務太郎のことを「被相続人」という。)、遺産分割協議の結果、
法務太郎(夫)が単独で所有していた土地・建物について、法務一郎(長男)と法務温子(長女)が権利を2分の1ずつ相続し、
法務花子(妻)は相続しないというケースを例に作成している。

不動産登記の申請書様式について
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

<登記申請書の作成における共通の注意事項>

① 登記申請書は、A4の用紙(縦置き・横書き。紙質は長期間保存することができる丈夫なもの(上質紙等))を使用し
(用紙の裏面は使用せず、印刷する際は片面印刷で印刷する。)
登記申請書と併せて提出する必要のある添付書類(添付情報)とともに、左とじにして提出すること。

② 文字は、直接パソコン(又はワープロ)を使用して入力するか、
黒色インク、黒色ボールペン等(インクが消せるものは不可)で、はっきりと記載すること。
鉛筆は使用することができない。

③ 登記申請書が複数枚にわたる場合は、申請人(申請人が二人以上いる場合は、そのうちの一人で可)
が、ホチキスどめした各用紙のつづり目に契印をすること。

登記申請書の作成

登記申請書は、法務局ホームページから様式をダウンロードして作成することができる。

この登記申請書は、法務太郎(夫)、法務花子(妻)、法務一
郎(長男)、法務貴子(長女)の4人家族の場合で、法務太郎
(夫)が亡くなり(この場合の法務太郎のことを「被相続人」
といいます。)、法定相続分(注)により、法務太郎(夫)が単独
で所有していた土地・建物について、法務花子(妻)が2分の
1、法務一郎(長男)と法務貴子(長女)が4分の1ずつ権利
を相続したというケースを例に作成しています。

<各項目についての説明>

・登記の目的

相続登記は、所有権の移転の登記に該当するため、「所有権移転」と記載する。

・原因

相続が開始した日(被相続人(亡くなった方)が死亡した日)を記載。
遺産分割協議が成立した日ではない。

・相続人

(説明1)
被相続人(亡くなった方)の氏名を記載。

(説明2)
相続人(土地・建物を相続した人)の住所と氏名を住民票の写しに記載されているとおりに記載し、
相続(遺産分割協議)によって取得した権利の持分を記載。

また、相続人のうち、実際にこの登記申請をする人(注)については、記載例のとおり「(申請人)」と記載し、
「印」の箇所に押印(認印で可)。

(説明3)
住民票コード(住民票の写し等に記載されています。)の記載は必須ではないが、
住民票コードを記載すると、登記申請書と併せて提出する必要のある住所証明情報(住民票の写し)の添付を省略することができる。

(説明4)
提出された登記申請書の内容に誤りがあった場合や、提出書類に不足等があった場合には、
法務局(登記所)の担当者から連絡するので、平日の日中に連絡を受けることができる電話番号(携帯電話の電話番号等)を記載。

・添付情報

① 「登記原因証明情報 住所証明情報」と記載。

② 登記の申請をする場合には、登記申請書と併せて、添付情報として、
登記原因を証する書面や所有者として登記される相続人の住所を証する書面を登記所に提出する必要がある。

・登記識別情報の通知希望

登記完了後に法務局(登記所)から通知される登記識別情報の通知を希望しない場合には、□にチェックをする。

・登記申請の年月日及び申請先の法務局

(説明)
① 登記の申請をする年月日を記載。
② 登記の申請先の法務局(登記所)を記載します。登記の申請は、
その申請する不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に対してする必要がある。
管轄の法務局(登記所)については、法務局ホームページに案内あり。

法務局ホームページ「管轄のご案内」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

・課税価格及び登録免許税

相続登記の申請をする場合には、法律(登録免許税法等)で定められた登録免許税を納付する必要がある。
登録免許税の計算方法については、法務局ホームページにて掲載。

① 課税価格
市区町村で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格を「課税価格」として記載。
固定資産課税台帳の価格は、毎年、市区町村から通知される固定資産課税明細書に記載されている。
なお、登録免許税が免税される場合には、課税価格の記載は不要。

② 登録免許税
登録免許税額を記載。登録免許税額は、原則として、課税価格に税率(相続による所有権の移転の登記の税率は 1,000 分の 4)を乗じて計算した額で、
その計算した額が1,000 円に満たないときは、1,000 円となる。

・不動産の表示

(説明1)
登記の申請をする不動産の表示を、登記事項証明書等に記載されているとおりに正確に記載。

(説明2)
不動産番号を記載した場合には、土地について、土地の所在、地番、地目及び地積の記載を、
建物について、建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積の記載を、それぞれ省略することができる。

手順④ 登記申請書の提出

作成した登記申請書及び登記申請書に添付する書面(添付書面)を、
その申請する不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)の窓口に持参する方法又は郵送する方法により、登記の申請を行う。
郵送によって登記の申請をする場合は、登記申請書及び添付書面を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載の上、
書留郵便により送付する。
登記の申請先となる不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)については、法務局ホームページに記載されている。

法務局ホームページ「管轄のご案内」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

手順⑤ 登記完了

法務局(登記所)での登記が完了すると、法務局(登記所)から、
登記完了証及び登記識別情報通知書(登記識別情報を記載した書面)が交付されるので、これを受領することで全ての手続が完了する。
登記完了証及び登記識別情報通知書は、登記所の窓口で受領する方法又は郵送により受領する方法がある。
登記所の窓口で受領する場合は、登記申請書に押印したものと同じ印鑑が必要。
郵送により受領する場合は、宛名を記載した返信用封筒及び郵便切手を登記申請書とともに提出すること。

登記完了証及び登記識別情報通知書の再発行・再交付はできない。

登記識別情報について

登記識別情報は、登記申請手続における本人確認手段の一つであり
登記名義人本人による登記申請であることを登記官が確認するため、
一定の登記の申請をする際に法務局(登記所)に提供する必要がある情報のことを指す。
この登記識別情報は、申請した登記(一定の登記)が完了した後、その登記により登記名義人となった申請人に、
その登記にかかる物件及び登記の内容とともに、法務局(登記所)から通知される。
具体的には、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号で、
不動産及び登記名義人となった申請人ごとに定められる。